「地元で就職するなら、とりあえず地方銀行は受けておくべき?」
「銀行って安定しているイメージだけど、実際はどうなんだろう?」
「今の時代、就職先としてどんな業界が人気なのかな?」
就活を間近に控えたあなたに向けて、銀行で10年以上勤務している経験談に基づいた記事を書きました。
・年齢:30代後半 関西在住
・地元でリテール(個人営業)として奮闘中
・毎月1万人以上が訪問する転職メディアを運営
・200人以上の転職相談にのった経験アリ
銀行は「知的でかっこいい」、「安定していて高収入」といったイメージがあり、いつの時代も人気の就職先です。
特に地方での就職を考えているなら、地元の有名企業として地方銀行が選択肢に挙がる人も多いでしょう。
しかし、実際に銀行で働いている身から言わせてもらうと、今の時代に新卒で地方銀行に就職して一生を終えるのはおすすめしません。
・地方銀行への就職をお勧めしない理由5つ
・銀行以外のおすすめの業界
・金融以外にも幅広く企業を見よう
地方銀行の「今」はどうなっていて、なぜお勧め出来ないのか?
この記事を最後まで読んでいただければ、あなたが「それでも地方銀行を志望するかどうか」について深く考えることができます。
就活の方向性を定める、いいきっかけづくりになりますよ!
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もくじ
地方銀行に就職はやめとけ、将来性がない
地銀の収益力は低下
近年の銀行業界を取り巻く環境は、大変厳しいものとなっています。
地方銀行の収益の大きな柱である利息収入は、近年どんどん減少しています。
その主な要因は「人口減少、少子高齢化、人口の東京一極集中」です。
事業資金や住宅ローンなど、「お金を借りたい人」自体がどんどん減っています。
そうなれば銀行は限られた顧客の奪い合いをはじめ、低金利の融資を提案する他なくなっているのです。
AIに代替される銀行員たち
業務内容のIT化も急速に進んでいます。
銀行員の仕事は、窓口での顧客対応や営業による融資や金融商品の獲得、審査がメインです。
それが現在では、口座開設など各種手続きのオンライン化が進み、AIによる融資審査システムも登場しています。
人員削減が進む銀行業界
今後十数年間のうちに、銀行員の仕事の殆どがAIに取って代わられる可能性だってあります。
そうすれば当然、銀行間の合併や人員削減の動きが加速することになります。
地方銀行で働く誰しもが、今後20年30年と働き続けられる保証はどこにもありません。
「地方銀行に入行すれば一生安泰」という時代は既に終わっているのです。
地方銀行に就職はやめとけ、ノルマがきつい
銀行員みんなが苦しむ営業ノルマ
銀行員になれば、誰もが「ノルマ」に苦しむことになります。
「月内に〇件、〇円の融資案件や定期預金を獲得しなさい」といった数字目標を課せられ、何としてでも達成しなければなりません。
このノルマを達成するのは非常にハードな仕事です。
1日10件訪問して1件も契約が貰えないなんてことはよくある話で、本当に大変です。
ノルマが達成できないと人間扱いされない
ノルマが達成できなければ、支店内ではまるで人権がないかのような扱いを受けることになります。
上司からは毎日怒鳴られ、支店内にも居づらくなり、有給休暇なども取得出来る雰囲気ではなくなります。
不正融資を行う銀行のニュースが後を絶たないのは、銀行員のノルマがいかに過酷なものであるかを示していると言えます。
半年後にはまた次のノルマが課せられる
そしてこのノルマの辛いところは、「終わりがない」ということです。
なんとかノルマを達成したとしても、期が変わればすぐにまた次のノルマが課されることになります。
自分が銀行員になって、そうしたノルマをこなしていけるか想像してみてください。
出来そうにないと感じるのであれば、地方銀行への就職は辞めておいた方がよいでしょう。
地方銀行に就職はやめとけ、土日が休みでない
土日はゆっくりできない、過酷な銀行員生活
「銀行は暦通りに休みが取れる」と思っている人が多いのではないでしょうか。
確かに土日祝日には銀行自体は閉まっていますが、実際は体は休めません。
土日には、資格取得に向けた勉強をしなければなりません。
仕事に必要な資格は山ほどある
例えば、金融商品や保険の販売をするには、証券外務員や保険募集人といった資格が必要です。
その他にも、簿記やFP、宅建や中小企業診断士など、出世するには数多くの資格を取得する必要があります。
平日の業務終了後だけでは時間が足りないので、結果土日に勉強することになるのです。
若手はボランティアやイベントに駆り出される
勉強だけでなく、強制参加のイベントも盛りだくさんです。
・ボランティア
・地域行事への参加
・取引先との飲み会
・休日接待ゴルフ など
多い月には土日の半分以上が潰れることもあります。
そうした行事に参加するためにプライベートを犠牲にしなければなりませんし、月曜日からはまた銀行に出勤しなければなりません。
「銀行は15時に閉まって定時退社、土日は充実したプライベート」のような生活が出来ると思って入行しては、必ず後悔することになるでしょう。
地方銀行に就職はやめとけ、古い企業体質
厳しい体育会系の風潮
地方銀行は、その公共性・安定性から業歴が長く、組織として完成されているところが多いです。
それゆえに、時代に合わせた変革が進んでおらず、古い慣習が色濃く残っています。
殆どの地方銀行に共通しているのは、「厳しい縦社会」が未だに残っているということです。
先輩や上司の言う事は絶対であり、若手行員には発言権はありません。
年功序列で若手は給料が安い
朝は誰よりも早く出社して掃除や雑用をし、先輩や上司より先に帰ることも出来ません。
無駄で非効率な業務も数多く残っています。
一つの書類に記載事項や押印欄が数多くあり、一つでも記入ミスがあればお客様に再記入や訂正印を貰いに走らなければなりません。
賃金も年功序列型であり、よほど優秀な成績を収めない限りは出世スピードも緩やかです。
学閥や派閥のある銀行も多い
さらには、地方の有名高校や大学出身者による「学閥」がある銀行も多く、採用や出世の面で不当に優遇されるケースもあります。
このように、地方銀行で働く銀行員は、時代に逆行した様々な古い慣習に未だ縛られているのです。
年齢や出身大学などに左右されず、純粋に自分の実力で勝負したい人にとっては、地方銀行は息苦しく感じることでしょう。
地方銀行に就職はやめとけ、利益主義でやりがいを感じられない
真の地域貢献は中々できない
地方銀行を志望する理由の一つに、「生まれ育った地域の経済発展に貢献したい」ことを理由に挙げる人も多いのではないでしょうか。
支援を必要としている企業や個人に対して資金を融通することで、夢を叶えるお手伝いをするという仕事は、確かに大きな社会的意義を感じますよね。
しかし実際には、その理想を実現させる機会はなかなか訪れることはありません。
銀行で優先されるのは自らの利益
なぜなら銀行は民間企業であり、自行の利益を最優先させなければならないからです。
銀行が融資をするには「確実に返済をしてもらえるかどうか」を検証しなければなりません。
つまり、銀行にとっての優良顧客は「貸し倒れの心配がない企業」であり、「本当に支援を必要としている企業」は、貸し倒れリスクのある顧客となります。
自分が本当に必要とされているのかギャップに苦しむ
その結果、資金の必要がない優良企業には喜んで融資する一方で、本当に支援が必要な企業には厳しい回答をすることになるのです。
そういう意味では、銀行員は「顧客に感情移入せず、ある程度ドライに仕事を淡々とこなす人」にこそ向いている仕事であると言えます。
地域貢献という高い志を持って入行した人ほど、理想と現実のギャップに悩まされ、モチベーションも次第に失われていくことになるでしょう。
地方銀行に就職するメリット
銀行を散々ディスってしまいましたが、10年以上勤めている僕が地銀に就職するメリット、身につくチカラについても記載しておきます。
- 対人折衝能力
- ストレス耐性
- 論理的思考能力
- スケジュール管理能力
- マネーリテラシー
- 幅広い業界知識
- 勤勉性
詳しくは以下の記事も合わせてご参照ください。
・銀行のカラーになるべく染まらない
・社外の知り合いや友人と積極的に交流する
・常に新しい情報に触れるようにする
上記のことを意識していけば、ファーストキャリアが銀行員であっても、広く世の中で活躍できる人材になれることでしょう。
銀行以外のおすすめの業界
「えっ、じゃあ地銀はやめた方がいいのかな…」
「他にどんな業界や企業を受ければいいの?」
というあなたへ。
IT業界
成長産業の代名詞的な業界として、真っ先に挙げられるのがIT業界です。
テクノロジーの進歩によって日常のいたるところでIT化が進んでおり、その発展は今後も止まることなく勢いを増すばかりです。
おしゃれなオフィスに私服出勤、新しい働き方として普及したリモートワークなど、最先端の働き方を導入している企業も多いです。
また、習得したスキルはあらゆる業界から必要とされるという点も大きなメリットです。
その時々のライフステージに応じて、勤務地、勤務時間、年収面など、ある程度自分の希望に沿ったキャリアチェンジが可能となるでしょう。
進化し続ける技術を勉強し続ける必要があることや、急なトラブルに対処する必要があるなど大変な面はありますが、時代に求められている業界だからこその苦労と言えます。
優秀な人材も多く競争は激しいですが、人生の可能性を広げることのできる業界としておすすめです。
人材関連
今後も一定の需要が見込まれる業界として、人材関連業界もおすすめです。
企業の採用戦略に対する提案や、企業の求める人材を紹介することなどを通して、企業と求職者の架け橋的存在になります。
人と人をマッチングさせる仕事は、理屈ではなく人の感情に訴えかける必要があります。
急速なIT化がすすむ現代においても無くなることのない仕事です。
企業と求職者の求めるものを汲み取り、的確な提案をすることで、人の人生の大きな決断に関わることが出来ます。
自分が担当した企業・求職者が満足いく結果を得られ、感謝の言葉をかけられた際などは、社会に貢献できた実感を強く感じることが出来るでしょう。
人口減少の影響や競合が激化していることなどは考慮すべきですが、様々な出会いを通じて成長することの出来る、やりがいのある仕事と言えます。
公務員
「地方で安定した人生を送りたい」と考えるのであれば、地方銀行ではなく公務員をお勧めします。
その大きな違いは、「ノルマの有無」と、「利益主義でない地域貢献が出来るかどうか」です。
公務員にはノルマがないので、数字に追われるプレッシャーもなく、顧客本意ではない商品を売り込むこともありません。
銀行と違い、利益ばかりを重視する訳でもないので、公共的な立場から金融面のみならず幅広い分野での社会貢献ができます。
公務員試験の勉強が必要であるものの、勉強すればする程内定の確率を高めることが出来るとも言えます。
クビになることもなく、地方公務員であれば転勤も限られるので人生設計もしやすいです。
地方で安定した人生を送りたい人にとっては、地方銀行よりも失敗する可能性の低い就職先です。
WEB広告業界
アフターコロナの新たな成長産業として台頭しているのが、WEB広告業界です。
WEB上に広告を出したい依頼主と、Googleなどのメディアをつなぐ役割を担います。
「Tik Tok売れ」という言葉が流行したように、現代においてインターネットの影響は非常に大きなものになっています。
現に、2019年にはネット広告はテレビ広告の市場を抜いており、コロナ禍において購買行動のオンライン化はさらに加速しています。
時代の最先端を行くWEB広告業界で働くことで、SNS、検索エンジンの攻略法、動画作成など最新のスキルを習得出来るのは大きなメリットです。
文系出身者でも活躍できるので、文系理系問わず働くことが可能です。
成果主義の世界なので厳しい競争社会に揉まれることになりますが、副業や将来的な独立開業を検討している人にとっては理想的な業界と言えるでしょう。
メーカー
自動車、電化製品、医薬品、精密機器など、身の回りにある様々なモノを取り扱う「メーカー」もおすすめです。
BtoB営業の形態が多く、対個人の営業が多い銀行よりも心理的ストレスが少ない業界です。
志望するメーカーを選定する際には、その将来性に注目することをおすすめします。
例えば、医療やバイオ、精密機械分野のメーカーは、取引先となる業界自体が成長産業であることから、そのメーカーも伸びていく可能性が高いです。
メーカーの魅力は、「取扱商品を世の中に広めることが、そのまま社会貢献につながる」ことです。
「お金」という、形のないものを取り扱う銀行ではなかなか得られにくい感覚でしょう。
企業規模の大小やメーカーの分野により福利厚生面や将来性に差があります。
十分な企業研究を行う必要があるものの、世の中の発展に貢献している実感が湧きやすい業界です。
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まとめ、金融以外にも幅広く企業を見ていこう
「とりあえず地銀に就職」はおすすめしない
地元に残りたいと考えたときに、地方銀行は多くの人にとって有力な選択肢になるでしょう。
しかし、見てきたように地方銀行を取り巻く環境は厳しく、勤務内容も非常にハードです。
「地方に残りたいから」という理由だけでとりあえず地方銀行を志望しては、必ず後悔することになります。
それでも地銀に入りたいあなたへ
地方銀行に絶対に入行するなとは言いません。
ネガティブな面を十分に理解し、それでも地方銀行に入行したいのであれば志すべきです。
大切なのは、業界の良い面、悪い面をよく研究して、実際に自分がそこで働くことをイメージすることです。
そのイメージが出来ていれば、就職後に「こんなつもりじゃなかった」とはならずに済みます。
金融以外の業界研究もしよう!
そのためにも、金融以外にも幅広く企業研究を行うようにしましょう。
働き方が多様化した現代では、地方で働くにも様々な選択肢が存在します。
地方に在住しながらテレワークで働くことや、大企業の地方限定職で働くことも可能です。
「地方で働く」という基準ばかりを重視して、「どういう職種で働くか」の判断を疎かにしてはいけません。
幅広い可能性を十分に考慮し、後悔のない就職活動にしましょう。