「銀行で働くのはストレスが多すぎる(涙)もしかしたらうつ病なのかも……」
「もし休職しても、無事に復帰できるんだろうか?」
銀行をはじめ、金融機関で働くのは正確な事務や目標数字などストレスが非常に多いですよね。
またもしかしたら、金融機関に勤めている家族をお持ちで、大切な人がかなり落ち込んでいて途方に暮れている人もいるかもしれません。
「銀行員とうつ病」というテーマでお悩みのかたに向けて、この記事を書きました。
・年齢:30代後半 関西在住
・地元でリテール(個人営業)として奮闘中
・毎月1万人以上が訪問する転職メディアを運営
・150人以上の転職相談にのった経験アリ
実は僕も、2016年にうつ病を発症ののち約2ヶ月休職し、現在では通常通り復職しています。
仕事をなるべく早く終わらせて、帰宅後は子どもとお風呂に入り、寝かしつけてそのあとブログを書いたり、妻とミスチルのライブDVDを観たり。
うつ病になったとしても、きちんと復職することもできます。
うつ病発症前よりも楽しく生活していると、自分では思っています。
そんな実体験を交えながら、語ってみたいと思います。
もくじ
銀行員がうつ病になる原因
そもそもうつ病になる原因とは
専門家の方の意見を引用してみます。
うつ病がどうして起こるのか、まだ十分に解明されてませんが、現在わかっている原因としては
「心理的ストレス」
「脳内の変化」
「なりやすい体質」
の3つがあります。菊池俊暁 慶應義塾大学医学部 助教
NHK健康チャンネル より
「脳内の変化」や「体質」については、まだ解明されておらず、個人ごとに異なるため、今回の記事では、「心理的ストレス」について触れていきます。
銀行員がうつ病や適応障害になりやすいのはなぜ?
・数字目標などのプレッシャーが多い
・お金を扱うので些細なことでもミスが許されない
・人間関係がギスギスしているとさらにキツい
数字目標などのプレッシャーが多い
僕はTwitterをやっているのですが、月曜日になるとタイムラインには「ベッドから出られない」「ノルマまだできてない、仕事いきたくない」など、銀行員たちの悲痛な叫びがあふてきます。
僕がそもそもなぜ、金融業界を志望したかというと、
「銀行は、形となる商品がないから、個人の人柄を見込んで商品を契約してもらえる。社長や役員と会う機会も多いから人間力も磨かれるよ」
「目標だって、支店みんなでやるから大丈夫! みんなでひとつのことに取り組む達成感があるよ!」
そんな人事の甘い言葉にまんまとダマされました。
「男を磨いてやろう」という気持ちと、銀行だったらスマートな仕事をしてそうだし、安定してそうだし大丈夫だろ、というよこしまな心もありながら入行したのですが、現実には
・とにかく本部から画一的に数字が振ってくる、お年寄りしかいない地域で保険やクレジットカードをどう売れと?
・数字が出来ないと上司から罵倒される
・数字が出来ていても、もっとやれと発破をかけられる
自分が詰められるのもツライですが、周りが怒られているのを見るのもツライ。
「次は、自分が詰められる番なんじゃないか……」
僕も、そんなことを思い詰めすぎて、結局自分を追い込んでしまった人間のひとりです。
お金を扱うので些細なミスも許されない
「命の次に大事なのはお金」とよく言われます。
1日でも融資の実行がずれれば、倒産してしまいそうな取引先。
銀行の監査部署からも、重箱の隅をつつくような指摘が入る。
事務方の人も、ミスをすると吊し上げ。
チャレンジをするより、減点方式、ミスが少ない人が偉いという文化。
ほとんどの人は仕事中に常に気を張っているのでは……
人間関係がギスギスしやすい
数字目標がきつい、そしてミスが許されない組織風土、さらに昨今のマイナス金利やコロナ禍などで、銀行の収益構造はさらに悪化してきています。
メガバンクは何千人規模の人員削減を打ち出していますし、
「生き残る地銀はどこだ!?」などの見出しも週刊誌に踊っています。
そんな、追い詰められた銀行員たちが集まるとどうなるのか?
くだらん派閥争い、足の引っ張りあい、女性同士のネチネチしたいじめなど、「銀行は風通しが悪い」と言われる理由もよくわかります。
組織構造的にも、ストレスをためやすい職場なのです。
銀行員がうつ病や適応障害になっても休職制度がある
うつ病や適応障害などの心の病かかってしまい、長期療養となっても銀行は手厚い制度があるので安心です。
まずは、年休消化。年休が20日溜まっていれば約1ヶ月は休職することが可能。
そのあとは所属する会社によって異なりますが、病気休職となるケースが多いです。
給与や賞与は支給されませんが、健康保険組合から傷病手当金(標準賃金の約2/3)を受け取ることができます。
傷病手当金の支給期間は、1年6ヶ月となっている健保組合がほとんどです。
1日だけ出勤して、また1年6ヶ月のお休みに入る人もいましたね。
1回出勤して、別の病気という届け出を出すとリセットされるようです。
というわけで、もしうつや心の病気などで休職しても、年休と合わせると1年6ヶ月以上は休むことができる。
会社によってはさらに手厚い制度が用意されているところもあります。
銀行員がうつ病になると、出世できなくなる?
第一線の出世レースからは外れるが、それでも上には行ける
もし心の病などで休職してしまったら、自分のキャリアは終わってしまうのではないか?
そう、心配される方もいらっしゃるかもしれません。
やはり休職した期間、間が空いてしまうのと、復帰後もすぐにバリバリと仕事ができるわけではないので、第一線の出世レースからは外れてしまいますが、
その後にきちんと実績を積み重ねていけば、キャリアアップの道もあります。
僕自身も休職から復帰後、順調に昇給を重ねていますし、
実際に仕事をご一緒した方で、かなり上の職位の方でしたが、休職歴がある方もいらっしゃいます。
最近では、人の痛みがわかってメンタルケアの重要性を把握できている人、とマネジメント面においてもプラスに捉える流れも広まってきています。
うつ病になった銀行員を集めた座敷牢みたいな部署がある?
確かに、病気休職の人や支店で出世コースから外れたり、お荷物(失礼!)あつかいされた人が多い部署は存在します。
総務部とか、ローンセンターとか多い気がします。
逆にいうと、会社の温情だとも思うんですよね。
現行の日本の労働法では、簡単に従業員を解雇できないので、会社が居場所を作ってくれます。
あれ? Twitterとかでさんざん銀行をディスってきたけど、意外とよい組織なのでは(涙目
そもそも銀行員の出世に価値はあるのか?
長い人生において、休職した期間を振り返ってみると、ほんの一瞬に過ぎません。
定年退職であっても、途中で出向するにしろ、いつかは今の勤務先を去ることになります。
退職後に「元支店長」「元部長」などの肩書はどれくらい役に立つのでしょうか?
あなたの人生の目標は支店長になることなのでしょうか?
他人の価値観で生きてませんか?
僕もうつ病で休職をキッカケに人生観を見つめ直すいいタイミングとなりました。
休職したあとのキャリアが心配な人は、あなたの人生のそもそもの目的はなんなのか? 一度自分に問いかけてみるのも、よいキッカケになると思います。
未来の自分の葬式で、どんな人だったって言われたい?
僕なら
多才な人だった
面白い人だった
言葉が刺さる人だった
ぶっとんだ人だった
死ぬまで学び続けた人だった…そう考えると今の仕事・業務で頑張り続けることは人生で大事なことだろうか?
会社の評価なんてほんの一片
気にすることなどない— うたのん@銀行員からの転職 (@utanobanker) November 29, 2020
銀行員のうつ病、僕の実体験
エリート(笑)だった僕
親戚がみんな知ってるような金融機関に入って、僕の人生このまま上手くいくと思ってたんですよね。
1年目は、後方事務から始まり、テラーでは毎日のように役席に怒られていて
「向いてねえな、3年経ってもこのままだったら辞めようかな」
なんて、思ってました。
実際に転職サイトに登録する、求人に応募してみる、など転職活動をしていたこともあります。
当時の支店長に「辞めたいです」といったこともあります。
その直後にリーマン・ショックが起こって(汗)。結局、支店長からのアドバイスもありそのまま銀行員を続けることにしました。
渉外に出て調子に乗り始める
融資業務を経験して、「この案件、こうやって稟議書を書けば通せるかも」。
企業の決算書ってこういう風に読むのか、面白いな。
資格取得も順調に進み、周りから褒められることも多くなりました。
住宅業者とタッグを組んで、分譲地を売り出したり、個人の住宅ローンもバカ売れしたりして……
自慢ですが優秀渉外として表彰されたこともあります。
そんな僕がどうして、うつ病になってしまったのでしょうか?
出生後にネチネチした上司に捕まり、仕事が詰む
転機が訪れたのは、結婚し、長男を保育園に預け始めた2015年ころからです。
妻が共働きフルタイム勤務だったので、仕事との両立を模索していた時期。
保育園の送りは僕が担当で、週一回はお迎えも行ってました。
ですが、その時の上司はネチネチとした詰めで有名な人で(涙
数字が出来てなければ、もちろん詰められる。
出来ていても、来月はどうするのか? 来期はどうするのか? とさらに詰められる。
家に帰れば、初めてのパパ業が待っています。
当時2歳くらいですので、夜泣きはするし、こちらの言うことなど聞いてはくれません。
もともと心配性な気質があった
実は、うつ病で休職する前も、何回か診療内科に通っていたことはありました。
僕は物事を大げさに捉えやすい気質のようでして(今はTwitterなどでたくさんのクソリプを浴びてその方面はだいぶ慣れましたけど)
心配性なところがあるんですよね。
まあ、心配性にもよい面もあります。
事前に色んなことをシミュレーションするので、「うたのんは用意がいい、仕事の進め方がうまい」とお褒めの言葉をいただくこともよくあります。
あと、昔付き合ってた彼女がメンヘラで、自分もそれに引きずられて神経症になってしまったりとか(苦笑)
うつ病になると実際どんな感じ?
その週は、金曜日に同期と飲みに行って
ちょうど1月末くらいで、支店の数字目標の追い込みなども熾烈を極めていた時でした。
土曜日になると仕事のことが思い浮かぶ。
日曜日、妻の前で泣きました。
「俺、もうムリだわ……」
妻はそこまで追い込まれているんだ……と月曜日休んで行きつけの心療内科に行くことを勧めてくれました。
復帰、そして現在
復職してから、すでに4年以上が経過しています。
復職してから、1等級だけ昇格もしました。
次男も産まれ、休職時に2歳だった長男は小学一年生に成長しました。
現在は、仕事をそこそこにこなしつつ、趣味で文章を書いたり、ブログを運営したりしています。
確かに銀行員としての出世、キャリアというのは同期に比べて遅れをとってしまいましたが、休職して人生を見つめるよいキッカケになりました。
あのまま、ずっと走り続けてもどこかで心や体にガタが来ていたと思いますし、逆に自分の大切なものに気づくことができてよかったと思います。
読者の方もうつや心の病などで休職となっても、絶望することなく、人生のお休み期間だと思って、ゆっくり休んでいただければと思います。
人生100年時代、これからですよ!
銀行でうつ病を患い、退職した後輩のお話
僕の休職の引き金(トリガー)となったのは、おそらく後輩の女の子がうつ病を発症し、休職した話を聞いたからです。
僕の5つくらい年下の女性で、容姿端麗で物腰もやわらかく、将来を期待されている子でした。(仮にAさんとします)
普通銀行の女性って性格きつい人多いんですけどね、もしくはそんな人しか残れないのかも。
支店で一緒に仕事をしたことはないのですが、割と住んでいるところが近く、年が近い同僚も交えて飲みに行ったり、城崎温泉まで連れ立ってカニを食べにいったこともあります。
その年も、新年会と称してAさんとその同期、僕の同期などを交えて飲みにいってました。
渉外(外回り)に出たばかりで、上司からかなり詰められていたみたいですね。
Aさんは銀行で生きていくのには優しすぎたのかもしれません。
銀行員の二年目はうつ病になりやすい?
統計があるわけではありませんが、就職して2年目、あるいは異動したあとの2年目がうつ病を発症しやすい傾向を感じます。
原因としては
・1年目は新人もしくは転勤したてなので、周りからもお客様扱いされる
・2年目になると、一人前扱いされる、数字目標をもたされ詰められる
・周りの同期とも徐々に差がついてくるので、自己嫌悪になる
特に2年目の方は気をつけた方がよいかなと思います。
しんどい時はきちんと休む。(僕は仮病をつかったこともある……ような気がします)
ヤバそうだなと思ったら、早めに医療機関を受診する。(早めに専門家に見てもらった方が回復が早く、その後の手立ても打ちやすいです)
・睡眠をしっかりとる
・太陽の光を浴びる(特に朝)
・適度な運動(散歩やストレッチも効果的)
・ジャンクフードやお菓子を食べすぎない
・自分なりのストレス解消法を身につける
上記のことは気をつけておいた方がいいです。(実体験)