「銀行を辞めたら、どんな生活が待っているの?」
「ネットでは、辞めたらストレスが減った、なんて聞くけど本当なの?」
「実際に辞めるとなるとどんな試練が待っているのか知りたい」
そんな疑問をお持ちの方へ向けた体験談をご紹介します。
九州の地銀から約3年前に転職した前田さんからいただいた実体験です。
前田さん プロフィール
・38歳 男性 九州某県出身
・地元の国立大学を卒業後、新卒で地方銀行へ入行
・個人営業や法人営業を担当後、3年前に公務員試験を受け県庁へ転職
結論をいうと、前田さんは銀行を辞めたことに未練はなく、今ではノルマからも解放されてストレスフリーな生活を送っているそうです。
非常に楽しそうに語ってくれました。
<この記事をまとめた人>
・年齢:30代後半 関西在住
・地元でリテール(個人営業)として奮闘中
・毎月1万人以上が訪問する転職メディアを運営
・200人以上の転職相談にのった経験アリ
ちなみに、銀行をやめるのはもったいない派、もうちょっと頑張ってみては派の意見も存在します。
編集長うたのんが書いた記事はこちら↓
ぜひ、読み比べていただき、一度しかないあなたの人生を選ぶ上で、参考にしてくださいね。
もくじ
銀行員を辞めてよかった、ノルマからの解放
銀行業務における最大のストレス
銀行員を辞めてよかった理由として真っ先に挙げられるのが、ノルマに追われる日々からの解放です。
来る日も来る日もノルマに追われる日々は、銀行業務における最大のストレスと言っても過言ではありません。
ノルマ達成のために、顧客本意ではない金融商品の提案や得意先へのお願い営業。
場合によっては親戚や友人に契約をしてもらうこともありました。
上司からの詰めは異常だった
ノルマを達成できなければ、上司から毎朝のように詰められます。
業務時間外も仕事のことで頭が一杯になり、精神的に追い詰められました。
転職活動においては、ノルマがない環境を重視して職種を選定しましたが、様々な恩恵を実感しています。
銀行の同僚たちはライバル
銀行では、同僚たちも言わばライバルであり、どこかギスギスした雰囲気がありました。
転職先ではチーム一丸となって仕事に取組む体制があります。
数字重視でなりふり構わず結果を出すような仕事をすることも無いです。
様々な角度からメリットデメリットを検証し、納得感のある仕事が出来るようになりました。
年収が減ってもそれを上回るメリットがある
転職後は、帰宅後に仕事のことを考えることも無くなり、夜もぐっすり眠れるようになりました。
転職したことで銀行よりも収入が減少しました。
しかしノルマが無くなったことによるメリットの方が遥かに勝ります。
それほどまでに、ノルマの有無が仕事に与える影響は大きいものであると言えます。
銀行員を辞めてよかった、ワークライフバランスの実現
仕事以外の行事で土日が潰れる
多くの銀行が土日祝日休みをアピールしていますけど、実際に丸一日休めているのはどれくらいでしょうか。
私自身も、
・取引先のイベント
・自主的(という名の)研修
・飲み会
・資格勉強
・付き合いゴルフ
・地域行事への参加
などに振り回され続けました。
仕事とプライベートの線引きのない生活を送っていました。
前もってスケジュールに入れていた家族や友人との予定も、急に入った銀行の予定を優先しなければならず、泣く泣く直前でキャンセルしたことも多々ありました。
年休の日にも仕事の電話が掛かってくる銀行時代
やっとの思いで取得した有給休暇の日であっても、自分の担当案件に何かあると容赦なく連絡が来ます。
休みが休みでない感覚でした。
大切な人たちと過ごす時間を奪われるうちに、「一体自分は何のために働いているのだろう」と感じるようになりました。
生活の質が大幅に向上
転職した今では、仕事以外の時間をしっかりと自分のために使えるようになり、生活の質が大幅に向上しています。
・早めに帰宅し家族との時間を大切にする
・友人とご飯を食べに行く
・読書や映画をゆっくり楽しむ
といった時間を心置きなく満喫出来るようになりました。
「数か月先の家族旅行を計画して楽しみにする」という感覚も、実に数年ぶりに味わいました。
プライベートの時間を確保できることでメリハリがつくようになり、銀行員時代よりも仕事に集中できるようになったことも大きな利点です。
ワークライフバランスを実現出来た今、自分の大切なものまで犠牲にする仕事は二度としたくありません。
銀行員を辞めてよかった、仕事への情熱を取り戻した
元々みんな抱いているはずの仕事への情熱
銀行に入行した当初は、一人前の金融マンになって経済発展に貢献したいという高い志をもっていました。
しかし、実際に銀行業務に従事してみると、理想と現実のギャップに悩まされる毎日でした。
本当に融資が必要な人に対する融資は否決となり、返済不履行となった顧客に対しては厳しい督促を行い、顧客から恨まれるような言葉をかけられたこともあります。
銀行の都合やノルマに振り回される日々
もちろん、顧客に感謝されるような取引に携わった経験もあります。
しかし、本当に支援したい人の力になれる機会は多くありませんでした。
銀行業務に従事すればするほど、一体誰のために仕事をしているのか分からなくなり、仕事に対するモチベーションは失われていきました。
そのため、「利害関係に捉われることなく社会貢献の出来る仕事」、「本当に困っている人を助けることの出来る仕事」がしたいと考えるようになりました。
様々な業務に前向きにチャレンジできる
自分の理想に近い職種に転職できた今、仕事に対しての情熱を取り戻すことが出来ました。
毎週月曜日が来るのが憂鬱であった銀行員時代とは違います。
仕事に行くのが楽しみになり、様々な業務に積極的にチャレンジすることが出来ています。
仕事をする時間は人生の大半を占めるからこそ、仕事は楽しくなければならないということを身をもって感じています。
銀行員を辞めてよかった、体育会系の人間関係からの脱却
軍隊みたいな銀行員の社会
銀行から離れて、改めて銀行の人間関係は独特であったということを実感しました。
・先輩や上司には絶対に逆らえない縦社会
・支店長次第で180度変わる職場の雰囲気
・どちらが債務者なのか分からない高圧的な経営者の応対
など自分の意思を押し殺す日々でした。
若手行員は必ず朝一番に出社して毎朝掃除を行う。
夜は先輩や支店長より先に帰ってはいけない。
などという暗黙のルールがあるのも、もはや銀行業界くらいかもしれません。
フラットな人間関係でのびのびと働ける
銀行員の頃は、そうした人間関係はサラリーマンである以上仕方のないことだと考えていたし、転職の決定打になった訳ではありません。
しかし、実際に銀行業界を離れたことで、フラットな人間関係で伸び伸びと働けることのメリットを実感しています。
新しい職場では、年齢や性別に関係なく自由に意見を言える雰囲気や、無理な要望に対してNOを言える環境の中で働くことが出来ています。
上から押さえつける企業風土はもう古い
上司・部下の関係の前に、一人の人間としてコミュニケーションが図れることで、ミスを恐れずに積極的に業務に取り組むことが出来るようになりました。
上から押さえつけられ、怯えるように働いていては全てが悪循環になります。
全ての銀行に共通することではないのかもしれません。
もし、そうした雰囲気の中で働いているのであれば、すぐにでも環境を変えるための行動を起こすことをお勧めします。
銀行員を辞めてよかった、厳格な服務規律からの解放
中学生のような服飾規定があるのが銀行
銀行は「信頼、堅実」というイメージの名の下、髪型やスーツ、服飾品などに厳格な取り決めがあるところが殆どです。
スーツや革靴は、黒を基調とした華美でないものが基本であり、長髪は許されないし髭も剃らないといけません。
スマートウォッチなど最先端の腕時計を身に着けることは出来ません。
鞄も書類を自宅に持ち帰ることが出来ないよう、A4用紙が入らないサイズしか認められていませんでした。
自由な服装で出勤できる
一方で、SDGsの考え方やテレワークの普及などで多種多様な働き方が普及している現代においては、ビジネスカジュアルが浸透している業界も多数存在しています。
街中や雑誌などでおしゃれな格好をしたビジネスマンを見かける度に、羨ましさを感じていました。
転職先では、ビジネスの場に逸脱しない範囲であれば柔軟なスーツスタイルが許容されており、メリットの大きさを感じています。
銀行の堅苦しい雰囲気には戻りたくない
事務所内の寒暖差に柔軟に対応できるようになる他、流行のビジネスカジュアルを取り入れることで、会社に行くのが楽しみになります。
スーツ等の購買意欲も高まり、自分磨きをすることがモチベーションにもなっています。
銀行から転職することの最大の理由にはならないかもしれませんが、「銀行の堅苦しいスーツスタイルにはもう戻りたくない」と感じるはずです。
銀行員を辞めてよかった、自分の可能性が広がった
銀行は毎日同じ業務の繰り返し
銀行業務は、支店における預金、融資、投資、信託業務など、基本的には金融一辺倒の仕事です。
本部勤務になった場合には広報やマーケティングなどの業務もあるものの、そうした業務に携われるのはごく一部の行員のみです。
銀行の支店業務における経験が全くの無駄とは言いません。
・忍耐力
・対人折衝能力
・論理的思考能力
・勤勉性など
ビジネスに必要な基礎スキルを高次元で成長させることが出来ました。
銀行業界の将来性は不安
しかしながら、金融に関する知識・資格は、その専門性の高さから金融業界以外で活用することは難しいのではないかということも感じていました。
このまま銀行で年齢を重ねて、10年後、20年度に転職したいと思っても、選択肢が狭まってしまう危機感を感じたことも、転職を決断した理由の一つです。
実際に金融とは異なる業種に転職した今、有形商品を取り扱う商談の経験や、企画の立案、ITに関する知識の習得など、銀行では経験出来ない幅広い経験が出来ました。
銀行以外の業務の経験が可能性を広げる
私自身が、今後の人生でさらなる転職等を検討するかは分かりません。
早い段階で銀行以外の業界を経験できたことにより、今後の自分の可能性が大きく広がったと感じています。
これから先の長い人生において、将来どのようなことが起きるか分かりません。
転職を含めて様々な経験を積んでおくことで、どのような未来であっても求められる人材になっておくことが大切です。
銀行員を辞めてよかった、穏やかな自分を手に入れた
銀行にいると心がどんどん荒れていく
銀行員の頃は、数字を追い続けるプレッシャーに追われることで、自分という人間が日に日に荒んでいくのを感じていました。
「アイツには負けたくない」と同僚に対して過剰な競争意識が働きます。
顧客に対しては自行にとって有益な存在であるかどうか常に値踏みしていたのです。
日頃の強いストレスから、せっかくの趣味の時間や旅行などプライベートの時間にも没頭できず、熟睡できることも少なくなっていました。
家族を大切にできなかた銀行員時代
急な地方への転勤が決まった際には、単身赴任するかどうかの議論で自分の都合を一方的に押し付け、家族に強く八つ当たりしたこともありました。
大切な家族のことさえ考える余裕が無くなっている自分に気付きました。
「このままでは何のために仕事をしているのか分からなくなってしまう」と愕然としました。
転職した今では、四六時中仕事のことを考えるということは無くなり、穏やかな自分を取り戻すことが出来ました。
あのまま続けていたらきっと後悔していた
読書やスポーツ、映画鑑賞など趣味の時間を心から楽しみ、家族との会話に仕事のことは一切話題に出さなくなりました。
銀行員を辞めずに働き続けていたら、仕事のために様々なものを犠牲にし、家族や友人との関係も崩壊していたかもしれません。
そうなれば、定年を迎えた日にきっと後悔していたことでしょう。
銀行員を辞めたことで、「働く為に生きる」のではなく、「生きる為に働く」ことの大切さを実感しています。
まとめ、銀行員を辞めたいのであれば転職活動を始めよう
転職には決断と時間がかかる
入行した当初は、まさか自分が転職活動をするとは考えていませんでした。
しかし、実際に銀行業務に従事するうちに、自分には「他人の人生に金融の面で介入する仕事」は向いていないことが分かり、転職を漠然と意識するようになりました。
転職が当たり前になった時代とは言え、いざ自分が転職活動をする決断を下すには、大変勇気がいりました。
家族に何度も相談を重ね、転職や人生の幸福に関する書籍を読み漁り、実際に活動を開始するまでに1年程度の時間を要したほどです。
銀行を辞めたことに後悔はない
銀行を退職する際にも紆余曲折ありましたが、転職を果たした今は、転職して本当によかったと思うことばかりです。
給料は2割程度下がりましたが、これまで述べてきたような様々なメリットの方が遥かに大きく、銀行を辞めたことは全く後悔していません。
あなたがもし銀行を辞めたいと考えるのであれば、うやむやにして働き続けるのではなく、なぜ辞めたいのかを列挙してみましょう。
その結果、辞めたいと考える要因が自分次第で解決できる内容であるのなら、銀行に残り解決に向けて努力するのもいいでしょう。
転職することも解決策のひとつ
「自分自身ではどう頑張っても解決しそうにない」
「今の環境のまま銀行で頑張るのは、もはや無理」
「銀行の仕事以外に他にやりたいことがある」
そう思うのなら、もはや解決策は転職することの他ありません。
一度きりの人生を、自分の思うように生きなければ必ず後悔する日が来ます。
自分の理想とするキャリアプランを真剣に見つめ、その理想が銀行で叶えられそうにないのであれば、すぐにでも転職活動を始めましょう。
直近は2019年。内定もいただきましたが、結果的に銀行に残る道を選びました。
銀行から転職した前田さんと、銀行に残った僕。
一見違う両者ですが、どちらにも共通しているのが、まずは転職活動を進めてみることの大切さ。
・今の自分の年齢、スキルではどのような転職先があるのか?
・もし転職したとして、自分はその企業で活躍できそうか?
・転職することは、自分の人生の目的に合致しているか?
単に今の職場が「嫌だ嫌だ」というだけでは、厳しい言い方ですが成長や改善は見込めません。
実際に活動することで自分と向き合い、よりよい人生へつなげることができます。
前田さんもおっしゃっていたように、まずは自己分析や転職サイトのリサーチなどから、行動を始めてみてはいかがでしょう。
転職エージェントと面談して、自分に合う求人や業界の動向など詳しい話を聞くのもアリです。
銀行に残るにせよ、続けるにせよ、あなたの決断がよりよいものになるよう、心から願っています。