「地元で就職したいから、信用金庫も受けておこうかな」
「金融機関の中でも信用金庫はちょっとユルそう」
「信金で働くのってどうなんだろう?」
この記事は、そんな就活中の皆さんに向けて書きました。
当サイトに寄せられた30人以上の現役・元信金職員たちの声をまとめています。
・年齢:30代後半 関西在住
・地元でリテール(個人営業)として奮闘中
・毎月1万人以上が訪問する転職メディアを運営
・200人以上の転職相談にのった経験アリ
信用金庫といえば、地域では評判の就職先。
地元での就職を考えている人は、選択肢のひとつになることが多いです。
しかし、10年間銀行で働いている経験から言うと、信用金庫に就職するのはおすすめしません。
・信用金庫への就職をおすすめしない理由7つ
・信用金庫を志望する場合の対策
・情報の仕入れ先をたくさん準備しよう
なぜ、信用金庫はおすすめできないのか?
実際に就職したら、どんな毎日が待っているのか?
現在の信用金庫の実情を本音で語ります。
この記事を読んで本当に信用金庫を志望していいのか、よい判断材料にしていただければ嬉しいです。
実態をしっかり知った上で、自分にあった仕事選びができますよ。
もくじ
信金への就職は辞めとけ1、ノルマ地獄
信用金庫のノルマはきつい
ノルマはこんな感じ
信用金庫に入ると、金融商品の販売や融資の実績にノルマが定められます。
月内に資産運用の商品〇〇円以上、融資案件を〇件達成しなさい、などです。
外回りの営業だけではなく、窓口の人にもノルマが課せられます。
終わりのないノルマ
信用金庫で売る商品は、魅力を伝えづらい無形商材。
しかも他の銀行などでも同じような商品はあります。
コツコツ頑張っても、ネームバリューで他の金融機関に負けてしまうことも。
ノルマを達成できたところで、次のノルマがどんどんやってきます。
数字に追われ続け、やってもやっても終わりがありません。
プレッシャーで精神を病む人も多い
このご時世、いきなりお金の話をすると警戒する人も多いです。
電話勧誘や訪問で必死に営業しても、冷たい対応をされてばかり。
支店では、毎朝進捗状況の報告や上司からのプレッシャーにあいます。
ノルマを達成できないと、ずっと厳しい言葉を投げかけられます。
常に数字に追われるプレッシャーが日常につきまとい、心身を壊してしまう人も多いです。
ノルマを達成しても、年収はそんなに上がらない
でもノルマ達成したら給料が上がるのでは?
という声も聞きます。
確かに、外資系金融機関などは自分の実績がダイレクトに給与に反映されます。
残念ながら、信金は営業成績が良くてもほぼ給料は上がりません。
信金は神経すりへらして、がんばったところで、
・みんなの前で表彰される
・ちょこっと手当がつく
このぐらいです。
やっても報われません。
でもやらないと上司に叱られるし、職場での居心地も悪くなる。
結局、恐怖や焦りというネガティブな動機で取り組まないといけません。
信金への就職は辞めとけ2、地域貢献のため休日労働が多い
意外と休日出勤が多い
・銀行や信金は15時に終わるし定時退社できそう
・土日もしっかり休めそう
そう思って信金を選びたくなる気持ち、わかります!
でも、ちょっと待ってください。
実は今の信用金庫は、休日も仕事をすることが多いです。
最近は、平日に来店できない人のために土日にローンや資産運用の相談を実施しています。
自分の顧客が土日の対応を希望すると、そのために休日出勤することもあります。
地域貢献という言葉の呪い
他にも、休日の地元の行事や取引先のイベントなどの手伝いがあります。
地域掃除で丸一日つぶれた、そんてこともあります。
信金は「地域貢献」という言葉で何でもやらされがち。
この言葉1つであなたの土日休みは突然失われます。
断るすべがありません。
若いうちは土日にやることだらけになる
信用金庫に入ってしばらくは資格の取得に取り組むことになります。
資格は証券外務員や生保募集人、ファイナンシャルプランナーなど膨大です。
ちゃんと合格するために休日にしっかり勉強したい。
なのに、若手のころは予定の融通がきくと思われ、上司に突然出勤させられます。
「地域貢献が大事だからさ」
「顧客との信頼構築で手伝ってきて」
とか言われます。
代休で平日休むという考えはなく、結局休みがないまま1週間がはじまってしまいます。
信金に入ったら、若手のうちは、休日は思うようにならないと心得た方が良いです。
信金への就職は辞めとけ3、企業体質が古い
アナログ仕事がやたら多い
ずばり信用金庫はITの仕組みが弱いです。
システムの弱さと合わせて、受け入れる文化が育っていません。
今は、学校の授業やレポートもネットを活用したりペーパーレス化したりしてますよね。
信金に入ると、いまだに紙文化で大量の紙を手書きし、整理しています。
報告、連絡、相談は対面じゃないとだめとか、時代遅れの文化に驚くことになります。
上下関係が厳しく風通しが悪い
職場は、昔ながらの上司の言うことは絶対、という風潮です。
せっかくいいアイデアがあっても、若手が意見を言う雰囲気はありません。
今の世の中、優秀な人はアイデアをどんどん出しプレゼンで説得力のある表現ができる人です。
学校でもそういったスキルを磨く機会が多いはず。
信金では、若いうちにプレゼン力をを発揮できる機会がありません。
出世するのは、上司にうまくゴマをすって、人間関係をしたたかに渡り歩ける人です。
保守的で事なかれ主義
よくも悪くも保守的な人が多いです。
何かを変えたいと思っていても、実際に行動を起こす人はあまりいません。
新しいことは積極的に受け入れる文化ではないです。
特に、年配の人は変えたがりません。
金庫全体で新しい仕組みになったのに「うちの支店は前のままで」とかいう独自のルールが定められることも。
こういったよくわからない事態もあります。
信金への就職は辞めとけ4、パワハラが多い
指導という名目で浴びせられる怒号
数字が厳しくなると、焦った上司がパワハラ化します。
建前は指導ですが、人前で怒鳴り散らします。
「契約とれるまで帰ってくるな!」
「とりあえず話丸め込んで取ってこい!」
など信金の窓口の裏側ではきつい言葉が飛び交っています。
机や椅子を蹴とばすという、大人がそんなことやっていいの?なことまであります。
「今月どうするつもり?」
「そんなやり方でいいと思っているの?」
とねちっこい詰め方もきついです。
信用金庫はかなり体育会系
信用金庫では、上司は偉い、何やってもいいという文化です。
・役職(課長とか部長とか)によってお辞儀の角度を変える
・名前を呼ぶときは必ず名前+役職でないといけない
など、The体育会というような風習がいまだにあり、上下関係の厳しさを助長させています。
上司が部下を押さえつけるのが指導。
若手は厳しく叱責して育てるべき。
そんな考えが根深く残っているので、パワハラが後を絶ちません。
昔ながらの精神論ばかりで具体策がない
信金では営業ノウハウが頭打ち状態です。
ネット銀行やメガバンク、大手地銀は、新しい仕組みを打ち出してきています。
そんな他の金融機関に押され気味で、信金には目新しいものがありません。
ノルマを達成するための具体的な方法は大してなく、上司からは
「足でかせげ」
「あきらめずに取り組め」
という昭和の精神論を振りかざされがち。
なんの解決策もなく、ただ「がんばれ!」と言われても、余計やる気がなくなります。
信金への就職は辞めとけ5、人間関係がキツイ
信金同士の合併が多く派閥が面倒くさい
昨今、合併統合している信金も多いです。
職場では旧〇〇信金vs旧□△信金などの派閥争いも存在します。
「その人は元〇〇信金だから」
「旧□△信金の人ってさ」
とかいまだに出身信金の話題になります。
それぞれのやり方や話に合わせないといけません。
独特の関係性もあるので、バランスをとるのが大変です。
お客様の利益に一つもならないのに、職場内の人間関係に神経をすり減らさないといけない。
これ結構疲れます。
正社員だけじゃない複雑な人間関係
信用金庫内には様々な立場の人がいます。
上司先輩だけでなく、パートの方、役職定年をした人、なども。
古株のパートさんが実は、支店長より権力を握っていて、すごく怖いなんてことも多いです。
取引先の社長の息子など、コネ採用で入った人なんかもいて気を遣います。
異動も多いので、そのたびに複雑な人間関係を把握して、立ち振る舞わないといけません。
違和感満載の変なルールや慣習がある
信用金庫で厄介なものの1つ。
それは「支店独自ルール」が多いことです。
マニュアルにはない、口頭伝承的な支店特有の慣習が存在しています。
例えば、
・紙で出さなくていいのに、一応印刷しておく
・古株のパートさんに朝必ず挨拶しにいかないといけない
・食堂の席順が役職によって決まっている
などなど。
それ意味あるの?といったものばかり。
ほとんどが、職場内の秩序を守るためだけの非効率なものです。
信金への就職は辞めとけ6、将来性がない
収益の悪化で年収が減る可能性あり
近頃は、ネット銀行の台頭、メガバンクの利便性の高さなどから信金を選ぶ人は少なくなっています。
地方人口の減少も止まらず、経営が厳しくなる信金はこれから増える見込みです。
収益が悪化すれば、合併や統合もどんどん進みます。
給与体系の見直しや人員削減も想定されます。
信金は安定している、いったん入れば一生安泰という時代は昔の話。
将来はどうなるかわかりません。
出世の道はますます厳しくなる
管理職のポジションが減少中
経費削減の一環で、店舗の統合や廃止が進んでいます。
店舗数が減ることから、支店長などのポジションが減ってきています。
かつては、年功序列で誰もが昇進できていました。
しかし今後、信金で出世する道はどんどん狭くなり、熾烈な出世競争に加わらなければなりません。
信用金庫も銀行などと同じく出向があります。
出向する年齢が若くなってきている
出向とは、一定の年齢で出世できない人は関連会社や取引先に行かされる制度です。
一般的に年収が下がります。
近年、この出向する年齢が下がってきています。
早いうちから出世の道が閉ざされ、給料が頭打ちになるおそれがあります。
将来役立つスキルが身に付きにくい
せっかくならスキルが身に付き、自分が成長できる仕事がしたいもの。
今社会ではITやWebマーケティングなどのスキルが重宝されています。
ところが、信金ではそういった経験をする機会が少ないです。
信金で取る資格は膨大ですが、世の中のニーズに合っていないため、他の業種ではほとんど使えません。
今は転職もどんどんしていく時代です。
実は優秀な人ほど、計画的に他の企業や業界に移っています。
いざ、キャリアアップしたいとなったときに必要なスキルをもっていないと身動きがとれません。
信金への就職は辞めとけ7、お客さま本位の仕事ができない
利益主義で会社都合ばかりの営業
地元が好き、地域の人の役に立ちたい
そんな理由で信金を検討している方は、たくさんいらっしゃると思います。
しかし、信金は民間企業で利益を出さないといけません。
・おすすめではないけど、ノルマがあるから売らないといけない。
・お客様に必要でないけど上司の指示で融資をおし進める。
など自分が良いと思ったとおりの提案ができません。
もっと社会貢献できると思ったはずが、会社都合で売らないといけません。
何のために仕事をしているのか、やりがいをなくすこともあります。
主体的な仕事をしたい人はつらい
結局、信金で提案できることは、会社都合でがちがちに固められています。
自由度が高い仕事をしたい人には向いていないです。
知識を磨いて自分で良いと思ったものをどんどん提案したいなら、他の業界をおすすめします。
信用金庫では、自分で計画を立て管理できる人ほど身動きのとりづらさに苦しむことになります。
本当に困っているお客さまは助けられない
金融機関にとって良いお客さまというのは、富裕層の人、業績の良い法人などです。
そういったお客さまは、すでにメガバンクや大手地銀で取引していることがほとんど。
信金を訪れるのは、そこで取引を断られた方、というのはよくある話です。
あちこちで断られている人や法人は、取引できるかのチェックが厳しくなります。
結果的に、信用金庫でも断らないといけない、かなり厳しい条件での取引しか提案できないということも多いです。
本当に必要としている人を助けてあげられないのは、心が痛みます。
信金への就職は辞めとけ、まとめ
新卒で信金一択はおすすめしない
いかがでしたか?
上記の理由からとりあえず信金で、という選び方をして入ると後悔します。
現在、信金をとりまく環境は良くありません。
仕事は体力的にも精神的にもキツイです。
地方に残りたい、地域貢献したいなら、他の仕事もあります。
例えば、大手企業の地域限定職や、リモートワークが中心の仕事などです。
地元なら信金、という周りの声やイメージにとらわれず、業種職種を広げて企業選びをしてほしいです。
それでも信用金庫を志望する場合の対策
ネガティブな面を知っても、信金に入りたいなら目指すべきです。
できる対策や心がけとしては、
・信用金庫の文化に染まりすぎない
・他社や他業種の人と交流できる機会をもつ
・今世の中で必要とされている知識は何か見極めて磨いておく
ということです。
信金を最初のキャリアとしてある程度経験を積み、転職するのもアリです。
つらいことがあっても、信金という狭い世界のことと受け止め視野を広く持つようにしましょう。
就活は情報が命、複数の仕入れ先をもとう
自分に合った就職先をみつける必勝法としては、必要な情報をどれだけ集められるかがカギです。
学校やセミナーの就職情報も大事ですが、それではみんなと同じ情報量や内容のままです。
そこからもう一歩踏み出すなら、求人サイトやエージェントの活用など複数の情報仕入れ先を登録しておくと良いです。
特にエージェントは、専任のアドバイザーが付き相談や対策をしてくれます。
プロの力を借りて、他の就活生とちょっと差をつけましょう。